アッシジについて抱いていたイメージは、世界遺産に登録されているので、わりと観光地っぽい賑やかな感じかな~っというものでした。ところが、実際に訪れてみたところ、町全体が、ひとつの教会にすっぽりと覆われているような、とってもおごそかな雰囲気でした。
大声を出す人もいなければ、走り回っている人もいない感じです。とにかく、しーんっとしていました。親が子供に「静かにしなさい」と注意しているところを何度も見かけたほど。
そして、教会では、何人もの信者がひざまずき熱心に祈りを捧げていたり、町角では、リュックを背負った巡礼者が歩いていたり。
修道士さんや、
修道女の方も度々見かけました。
単に、観光目的で訪れたわたしは、興味本位で訪れたことを恥ずかしく思いました。
この町出身の修道士、聖フランチェスコについても、まして、キリスト教についても、ざっくりとした知識しかないのに、聖地アッシジを訪れるとは、なんて愚かな観光客なんだろうっと。
と同時に、なんだか不思議な”孤独感”でいっぱいに。
ほんとに一人ぼっちだ~という感覚。うまくいえないけれど。信仰心を介した目に見えないつながりの、枠の外にいるということをひしひしと感じてしまいました。
というわけで、タイトルにも書きましたが「アッシジは観光地ではなく祈りの場」だったな~という旅の余韻を振り返りつつ、訪れた教会や大城塞などをレビューしたいと思います。
目次
・サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会(所要1時間)
・サン・フランチェスコ聖堂(所要2時間)
・大城塞(所要30分)
※所要時間はおおよその観光時間です。移動は含まれていません。
サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会(Santa Maria degli Angeli in Porziuncola)
まず訪れたのが、17世紀後半に建設された「サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会」。
カトリック教徒の巡礼地のひとつになっています。
巡礼者の目的は、クーポラのちょうど真下に安置されている「ポルツィウンコラ礼拝堂」です。
教会の中に小さな教会(礼拝堂)が納められています。あまり見かけないスタイルですね。
写真中央の「ポルツィウンコラ礼拝堂」は、元々、スバシオ山の森に囲まれた場所にあり、聖フランチェスコの活動の拠点となっていました。
1226年、聖フランチェスコはこの礼拝堂で息を引き取りました(正確には、近くの小さな小屋(医務室)で、亡くなったそうです)。
その後、礼拝堂を保護する目的で、サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会が建設されました。そして、教会内部に礼拝堂を移設したんですね~。
以降、この教会を訪れる巡礼者が後を絶たないのだそうです。
(教会に貼ってあったポスター↑)
ポルツィウンコラ礼拝堂内の祭壇の前で、みなさん、熱心に祈りを捧げていました。
一般の信者に加え、修道服を着た男性や女性も多かったです。
一方で、わたしは、というと……。祈りを捧げる皆さんの背中越しに、ろうそくの灯る祭壇をただ静かに眺めていました――。
この教会へ何をしに来たのかな、と自分でもよく分からなくなってしまったひと時でもありました。やはり教会は、見世物ではないんですよね。敬虔な信者さんがいらっしゃるのに、カメラを抱えた観光客が訪れるべき場所ではないと、つくづく思いました。
そんな思いを抱きながらも観光を続けるって……。完全な自己矛盾に陥っています 😳
さて、「サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会」の回廊を抜けると、中庭に「バラ園」があります。中央には、聖フランチェスコの銅像が立っていました。
社会奉仕を放棄したい誘惑にかられた聖サンフランチェスコ。誘惑に打ち勝つため、裸でバラ園に身を投げました。すると、体に触れたバラから棘(とげ)が消えたのだとか。
そんなエピソードを再現したバラ園です。
外に出ることはできませんが、ガラス張りの通路からこの「バラ園」を見ることができます。ここに植えられたバラは「棘(とげ)なし」で知られています。
残念ながら、バラの時季ではなかったようで、花は咲いていませんでした。
通路には、白い鳩の姿も。生きてる本物の鳩が放たれていました。こちらも、聖フランチェスコにまつわるエピソードにちなんだ演出なのでしょう、ね。
中庭を抜けると、聖フランチェスコが祈りや休息で立ち寄ったという「バラの礼拝堂」がありました。
祈りの様子が再現されています。
通路を抜けて、外へ。廊下の天井に下がっていた星形のランプがかわいかったな。
サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会を見学した後は、昼食へ。
⇒アッシジ駅近くのレストラン「サントゥッチ」
サン・フランチェスコ聖堂(Basilica di San Francesco)
午後は、サン・フランチェスコ聖堂へ行きました。内部は撮影禁止です。
こちらは教会という位置づけですが、聖フランチェスコの遺体が祀られており、霊廟としての役割も担っています。建物は、地下と1階の2層になっていました。ジョット、チマブエ、シモーネマルティーニなど、著名な画家のフレスコ画で飾らていました。
祭壇の前には、真剣に祈りを捧げていらっしゃるたくさんの方々。
こんなに熱心に祈っている人の姿を目の当たりにしたのは、初めてでした。
”祈る”というのはこういうことなんだと、あらためて感じるほど。
そういう意味でも、サン・フランチェスコ聖堂を訪れた甲斐がありました。
大城塞/ロッカ・マッジョーレ(Rocca Maggiore)
日が暮れて、街灯が灯りはじめました。
つぎは、予定通り「大城塞」へ。
丘の上にあります。
こちらの記事にも書きましたが、駅の売店で買った地図が役に立ちましたよ~。
⇒アッシジ観光に便利な地図&荷物預けは駅の売店で
「ROCCA MAGGIORE(大城塞)」への順路を示す矢印にしたがって進みます。
石の階段をのぼって。
林の中の小路、という雰囲気の砂利道を歩いて。
ちょっとした冒険気分。
そして、ようやく到着~☆
これが、大城塞です。アッシジを見下ろす丘の頂上に立っています。
14世紀頃に建てられたものです。
今でこそ、静かで治安の良いアッシジですが、かつてはこのように大きな要塞が必要な時代もあったんですよね。
中に入ることができるのかなっと思い、周囲を歩いて見ましたが、入口らしき場所はありませんでした。
でも、問題なし!
目的は、こちらの要塞前の広場から眺めるパノラマ!とっても素晴らしいんです。
「芸術と歴史の街 アッシジ」(出版:CASA EDITRICE BONECHI)というガイドブックには、
”この城塞はウンブリア全平野を見晴らせる唯一の展望所だ。東西にのびるスバシオ山と、遠くスポレートからペルージャまで街が点在する平野。後方はテーショ川の渓谷のある絶壁である。”
と書いてありました。
この大城塞から、ウンブリア全平野を眺めることができるんですね!
地平線いっぱいに広がるウンブリア州の平野と、アッシジの夜景を見ることができました。
旅の良い思い出になりました~☆
夕食はこちらでいただきました♪
⇒ウンブリア郷土料理が絶品! アッシジの老舗レストラン
そして、宿泊したホテルはこちら
⇒イタリア旅行記(アッシジ)観光に便利! おすすめホテル