世界遺産「モデナの大聖堂、トッレ・チヴィカおよびグランデ広場」(1997年登録)を訪れました。
モデナ大聖堂はロマネスク様式の傑作とされる建物で、ゴシックのような華やかさはありませんが、素朴な装飾が目を引きます。
この記事では、実際に内部を見学して印象的だった点や見どころを紹介します。
モデナ観光を予定している方の参考になればうれしいです。
簡単な情報だけお知りになりたい方は以下の記事をどうぞ。
モデナ駅からのアクセス

モデナ駅から大聖堂までは徒歩15分ほど。平坦な道なので、歩きやすいです。
途中、とても大きな建物に出会うと思いますが、ドゥカーレ宮殿です。
エステ家の居城だっただけあってとっても大きい。
この宮殿を過ぎると、旧市街の中心部へと入っていきます。

ギルランディーナの塔の全体が見えてくると、いよいよ大聖堂に到着です。
モデナ大聖堂(Duomo ドゥオーモ)
正面|バラ窓と創世記

ロマネスク様式らしい、正面ファサードの大きなバラ窓が美しい教会です。

壁面には「創世記」の物語が彫られています。
左側の扉上部には、神が天地創造を告げ→アダム誕生→アダムの体からイブが誕生→アダムとイブが禁断の果実を食べてしまうという物語が描かれています。

そして、中央扉のむかって左には、アダムとイブはエデンの園から追放され→労働を強いられる場面。
中央扉の右はカインとアベルの物語のようです。

右扉の上にはその後の話が続きます。
内部|3廊式

中に入ると、円柱で仕切られた3廊式になっています。

連なるアーチと採光が造り出す陰影が劇場演出のようでした。

石の素材がわかりそうな、ごくシンプルな装飾。に光が映える。

個人的に、この教会のなかで一番、印象に残ったのが、「彫像の祭壇 L’Altare delle Statuine」(Michele da Firenze, 1440 – 41)。

元々は主祭壇に置かれていたもののようです。
15世紀初頭にロレンツォ・ギベルティの工房でドナテッロと並んで修業を積んだフィレンツェの彫刻家ミケーレ・ダ・フィレンツェが大聖堂の主祭壇のために制作したものだが、数十年後、完全なルネサンス趣味の台頭により撤去された。
出典:モデナ大聖堂公式サイト

正面奥(内陣)が一段高くなっており、その一番手前にポンティーレ(pontile)と呼ばれる、桟橋のような?、バルコニーのような?ものがありました。わたしの知識不足かもしれませんが、珍しい構造だなぁっと思いました。

一番奥は半地下になっていました。半地下から見上げたバラ窓の光が美しい。

クリプタ(地下礼拝堂)には、「サン・ジェミニアーノの石棺」がありました。サン・ジェミニアーノはモデナの守護聖人です。

ベリンチーニ礼拝堂 Cappella Bellincini。フレスコ画でしょうか、ところどころ色が消えていますね。
なんだかちょっと、仏教画のように思えました。
ギルランディーナの塔(la torre Ghirlandina)

さて、つづいて、ギルランディーナの塔を紹介します。大聖堂とともに、ユネスコ世界遺産に登録されています。
「Ghirlandina(ギルランディーナ)」という名前は、塔の上部を飾る大理石の装飾(花輪=ghirlanda)に由来するそうです。
高さは89.32メートル。

ギルランディーナの塔(la torre Ghirlandina)への入場は日時指定の予約制となっています。
予約はオンラインから行います。予約方法については以下の記事に書きました。参考にどうぞ。
(混み合う時期でなければ、当日予約も可能です。わたしは当日予約しました。)
指定時間の5分くらい前に行き、窓口で予約画面を提示し、チケットの料金を支払います。
それから、階段をのぼります。

螺旋階段ではないので、比較的のぼりやすかったです。

6歳のこどもも一緒でしたが、10分ほどで最上階の展望室まで行けました。

展望室の窓からはモデナの旧市街が見渡せます。ドゥカーレ宮殿も見えました。

↑写真は、塔の上から見た、グランデ広場の様子です(グランデ広場も世界遺産に登録されています)。この日はお祭りが開催されており、出店用のテントが並んでいました。
なお、展望室の窓には格子がかけられていました。ただ、写真撮影用に小さな穴があけられており、その穴にスマホを掲げて景色を撮影できました。
La Secchia Rapita(盗まれたバケツ)

塔の内部の一室に、「La Secchia Rapita(盗まれたバケツ)」として知られる木製のバケツのレプリカが展示されていました(※本物は市立博物館に保管されています)。
なぜ、バケツ?と思いますよね。歴史を遡りますと、
13世紀、モデナとボローニャは激しく対立していました。
- モデナ:皇帝派(ギベリン)
- ボローニャ:教皇派(ゲルフ)
「ザッポリーノの戦い(1325年)」でモデナ軍がボローニャ軍を破った後、戦利品として井戸の木製バケツを奪った、という逸話が残っているそうです。このバケツが、「モデナがボローニャに勝利した象徴」として語り継がれることになっているのだとか。
まとめ
モデナ大聖堂とギルランディーナの塔は、「モデナの大聖堂、トッレ・チヴィカおよびグランデ広場」としてユネスコ世界遺産に登録されている、街を象徴する存在です。ロマネスク様式の大聖堂は、創世記を描いた彫刻や三廊式の内部空間、クリプタに安置された守護聖人サン・ジェミニアーノの石棺など、見どころが豊富でした。
また、ギルランディーナの塔に登ると、モデナ旧市街やグランデ広場を一望できます。塔内に展示されている「盗まれたバケツ(La Secchia Rapita)」は、中世の都市対立を今に伝える象徴的な存在です。歴史・建築を楽しみたい方に、モデナ大聖堂とギルランディーナの塔は外せない観光スポットです。
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