「ロミオとジュリエット」
悲恋の物語として有名ですよね。
イタリア語では「ロメオとジュリエッタ」といいます。
その“ジュリエッタの家”が北イタリアの都市ヴェローナにあります。
なぜ、想像上の物語に登場する「家」が実在するのか……?という点はおいておいて。
ヴェローナを訪れた観光客は必ずと言っていいほど、ジュリエッタの家を訪れます。わたしも、ヴェローナへ行き、そして、ジュリエッタの家を訪れました。街の中心、中世の雰囲気を残すエルベ広場のすぐそばにあります。
ただし、近くまで来て気が向いたからジュリエッタさんの家にふらりと立ち寄る……というわけにはいきません。わたしが訪れたときは事前予約が必要で、オンラインで予約してから出かけました。
予約した時間に行き、プリントアウトしたバウチャーチケットを係員に見せて中に入ります。
5階建ての建物の中には、キッチン、居間、さらに、ロメオとジュリエッタが愛をささやいたというバルコニーまであります。
扉を抜けて中に入ってみると、想像していたよりも薄暗く、冷たい雰囲気だなと思いました。

窓からの限られた光、きしむ木製の床、飾り気のない壁。部屋の片隅に置かれたベッド。
ロメオとジュリエッタの物語から感じられる“すれ違い”“悲しみ”“死”をなんとなく連想してしまう、そんな空気感のある場所でした。
紙の本であれば、挿絵に描かれるような天井、壁、床、家具それぞれの様子が、3D空間の中に立ち現れたようで、物語を立体的に感じられました。そこに、ジュリエッタという人が実在したのではないかと思わせる空間が広がっていました。

もちろん、ロメオとジュリエッタは創作された物語の登場人物であり、ジュリエッタという人物や、その家が実在したわけではありません。シェイクスピア自身もヴェローナを訪れたことはなかったとされています。
少し話は変わりますが、『ロミオとジュリエット』よりもはるか昔に、よく似た悲恋の物語がありました。
紀元前1世紀ごろに活躍した古代ローマの詩人オウィディウス。その代表作のひとつである『変身物語』には、「ピュラモスとティスベ」という悲恋の物語が登場します。詳しい内容はここでは省きますが、親に結婚を反対された若い男女が、悲劇的な結末を迎える物語です。

古代ローマ時代の『変身物語』から、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』へ。悲恋の物語は、形を変えながら時代を超えて語り継がれてきました。
そうした長い歴史の中で語り継がれてきた悲恋の物語を、ヴェローナのジュリエッタの家を訪れることで、よりリアルに感じることができました。
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