2025年11月、パルマを訪れました。
パルマ駅からタクシーに乗り、ホテルへ。

ホテルにチェックインして荷物を置くと、早速パルマの街へ繰り出しました。
最初の目的地は《パルマ大聖堂》。
宿泊したホテルのすぐ目の前にありました。
【パルマ・ホテル】パラッツォ・ダッラ・ローザ・プラーティ Palazzo dalla Rosa Prati宿泊記
外観

現在の姿につながる大聖堂の建設は、11世紀頃に始まったようです(諸説あります)。

建築様式はロマネスク様式です。
2頭のライオン
大聖堂の入り口には、2頭の巨大な大理石のライオン像が守護している。これらは1281年にジャンボーノ・ダ・ビッソーノによって彫刻されたもので、大聖堂の象徴の一つとなっている。
ライオンをよく見ると、左右対称ではないことがわかる。片方は赤、もう片方は白。この違いは、 キリストの人間性と神性という二面性を象徴していると考えられる。

パルマ大聖堂は、正式には《聖母被昇天大聖堂 Cattedrale di Santa Maria Assunta》といいます。
下調べもあまりせぬまま訪れたので、大聖堂の入口に置かれていたパネルを見て知りました。
内部

中へ入ると、驚きました。
内部は天井や壁一面が華やかに装飾されていて、とても豪華です。
外観はロマネスク様式らしい重厚でシンプルな印象だったので、外観と室内との違いに驚きました。

来訪者向けに、教会内部がわかるマップがありました。マップに記された番号の場所には、以下の作品があると書かれています。
- ③ クーポラ:コレッジョ《聖母被昇天》
- ④ 後陣半円蓋:ジローラモ・マッツォーラ・ベドーリ《最後の審判》
- ⑥ 入口側の壁(ファサードの内側):ラッタンツィオ・ガンバーラ《キリストの昇天》
中央身廊の天井画

パルマ大聖堂は、三身廊式の教会です。
中央身廊の天井には、ジローラモ・マッツォーラ・ベドーリ Gerolamo Mazzola Bedoliによるフレスコ画が描かれています。
1555年から1557年にかけて制作されたものだそうです。
個人的には、この天井画にとても惹かれました。
色味やモチーフの配置など、全体のデザインが、大聖堂内部をどこか原始的な美しさを感じさせる空間にしているように思えたからです。
写真ではその雰囲気をあまりうまく伝えられていないのですが、実際に訪れてみると、独特の美しさが感じられました。
もしかすると、たまたま光の加減が、より一層天井画を引き立てていたのかもしれません。
季節や時間によって、天井画が見せる表情はきっと異なるのでしょうね。
入口側の壁(ファサードの内側)

入口側の壁(ファサードの内側)には、ラッタンツィオ・ガンバーラ Lattanzio Gambaraのフレスコ画《キリストの昇天 L’Ascensione》が描かれています。
この大聖堂のクーポラに描かれたコレッジョの《聖母被昇天》と呼応するように、天に昇るキリストの姿が、ステンドグラスの上部に描かれています。
説教壇

精巧に彫刻された木製の説教壇もありました。
金属の細工かと思いましたが、木製のようです。
Wikipediaによると、パオロ・フロー二 Paolo Froni (1613)作。
側廊

側廊には、左右合わせて10の礼拝堂があります。

ひとつひとつ装飾が異なっていて、じっくり見てみたくなります。
内陣-主祭壇

大聖堂内陣。
主祭壇奥(後陣)のフレスコ画は、ジローラモ・マッツォーラ・ベドーリ《最後の審判》です。
主祭壇右側の階段を上り、クーポラの方へ進みます。

クーポラの真下には立てないのですが、少し離れた位置から見上げると、内部にひときわ目を引く天井画がありました。
クーポラ|コレッジョ Correggio《聖母被昇天 Assunzione della Vergine》

コレッジョ Correggioのフレスコ画、《聖母被昇天》です。
聖母マリアが天へ召されていく姿が描かれています。
まさに今、天へ昇っていこうとしているかのような、下から見上げる構図です。そのため、聖母マリアの脚まであらわに描かれています。
まるで天井が消えて、その先に天上の世界が広がっているかのような、イリュージョンを思わせる斬新な視点ですよね。
余談ですが、マリアが天に召されていく姿を下から見上げるこの構図、どこかで見たことがあるな……と思いました。
以前、スペインにあるダリ美術館で見た《キリストの昇天》の構図に似ていたのです。こちらも、キリストの足裏を下から眺めるような構図で描かれています。
ダリの作品を初めて見たときは「斬新だなぁ」と思いましたが、16世紀にはすでに、コレッジョがこのような大胆な視点を取り入れていたんですね。

なお、クーポラを支える四隅のペンデンティブには、パルマの守護聖人たちが描かれているそうです。
・サン・ジョヴァンニ・バッティスタ San Giovanni Battista(聖ヨハネ:パルマの守護聖人)
・サンティラリオ・ディ・ポワティエ Sant'Ilario di Poitiers(ポワティエの聖ヒラリウス)
・サン・ジュゼッペ San Giuseppe(聖ヨセフ)
・サン・ベルナルド・デッリ・ウベルティ San Bernardo degli Uberti
ベネデット・アンテラーミ Benedetto Antelami《キリストの十字架降下 Deposizione di Cristo dalla croce》

同じエリアの壁に、ベネデット・アンテラーミ Benedetto Antelamiの彫刻《キリストの十字架降下 Deposizione di Cristo dalla croce》があります。ロマネスク時代の終わり頃1178年に制作されました。
この作品は、もともとは説教壇(ambone)の一部を構成していたそうです。
最後に

パルマ大聖堂こと、聖母被昇天大聖堂 Cattedrale di Santa Maria Assuntaでは、教会のクーポラを見上げることで、《聖母被昇天》の様子を今まさに下から眺めているような他では味わえない感覚を体験できました。
コレッジョの絵画は十七世紀のバロック様式を準備したという点から、その後も長いあいだ高く評価され続けた。
出典:イタリア美術(ミシェル・フイエ著 白水社)
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